現代政治の理論と実際

「年金制度とその問題について」           稲葉 禎徳(t002512X)

 

●年金制度について

 年金制度は以下のように分類される

 

年金制度   公的年金   国民年金

厚生年金保健

共済年金

         私的年金   企業年金       厚生年金基金

                国民年金基金     適格退職年金

                個人年金       非適格退職年金

                財形年金

 

1.公的年金

 20歳以上60歳未満の国民は全員「国民年金」に加入しなければならない。従って、20歳以上の学生や専業主婦も国民年金の加入者になる。 国民年金の保険料は、平成12年4月から平成13年3月まで、1月あたり13,300円となっている。

4月に1年分を前納すると、保険料が3,850円割引される。

上記保険料に加えて、付加保険料(月当たり400円)を納めることもできる。付加保険料を納付した場合には、付加年金(200円×付加保険料納付月数)が老齢基礎年金に加算される。

「国民年金」に加えてサラリーマンであれば「厚生年金保健」、公務員等であれば「共済年金」にも合わせて加入する。

「公的年金の種類」

 

国民年金

厚生年金

共済年金

老後

老齢基礎年金

老齢厚生年金

退職共済年金

病気やけが

障害基礎年金

障害厚生年金
障害手当金

障害共済年金
障害一時金

死亡

遺族基礎年金
寡婦年金
死亡一時金

遺族厚生年金

遺族共済年金

各公的年金は、上記の表のように老後保障の「老齢年金」、病気や怪我により障害を負ったときに支給される「障害年金」、死亡した時に遺族に支給される「遺族年金」からなっている。

 

2.私的年金

 公的年金が強制的に加入させられるものであるのに対し、私的年金とは公的年金を補完してより豊かな老後生活を送るための制度で、その加入については任意である。企業が従業員を対象に運営する企業年金、自営業者が任意加入する「国民年金基金」、個人が任意加入する生命保険会社等の個人年金・財形年金がある。

 「適格退職年金制度」は昭和37年(1962年)に、「厚生年金基金制度」は昭和41年(1966年)に創設された制度である。

 上記以外にも、自社単独では退職金制度が設けられない中小企業のために、「特定退職金共済制度」(国税庁所管、昭和34年創設)や、「中小企業退職金共済制度」(労働省所管、昭和34年創設)等がある。

 

〜参照〜

http://www.ne.jp/asahi/koueki/account-tax/sikumi.htm:年金・厚生年金基礎講座

  年金についての基礎的な知識を得ることができるホームページである

 

●年金制度の問題点について

 年金制度を維持していくにあたっての今後の問題は、年金の財源をどう賄っていくかということである。年金の給付方法としては、「賦課方式」「積立方式」というものがある。

賦課方式・・・毎年度、年金給付に必要な資金を、その年度の被保険者からの保険料で全額まかなっていく方式。「世間間扶養」ともいう。

積立方式・・・一定の資産を毎年積立ていき、その積立資産の運用収益と保険料の一部で年金給付をまかなっていく方式。

 公的年金は「賦課方式」、企業年金は「積立方式」を採用しているのであるが、それぞれの方式にはそれなりの問題点が存在する。

 まず「賦課方式」の問題についてである。すでに述べたとおり、「賦課方式」とは保険を受けている人からの保険料で成り立っている給付方法である。保険料の決定要因は、現役世代(=被保険者)と老齢世代(=受給者)の人数比にある。つまり、老齢世代に対する現役世代の比率が小さいほど、現役世代にかかる負担は大きくなるのである。現在の日本は、急速に少子高齢化が進んできている。2000年現在、上記の比率は約4:1となっており、2025年頃には2:1位にまで悪化すると予想されている。もし現状制度の給付を維持した場合、現役世代の「国民年金」の負担額は現在の月額13,300円から約2倍の26,000円程度に、「厚生年金保険」の負担は月給の17,35%を労使で折半している状態から、こちらも約2倍の35%程度にまで増加してしまうのである。今後は年金以外の「医療」「介護」等の負担も増加していくことも明らかなので、現在の2倍にも登る負年金担は、限界を超えるものとなる。よって、今後の高齢化社会に対応した年金制度に改めていくことが必要である。 次に「積立方式」についての問題であるが、こちらは「賦課方式」と異なり、保険料の一部も年金給付のための資金となるが、それに企業自身の積立資産の運用収益を加えたものにより成り立っている給付制度である。そのため積立資産の運用が悪化すると年金給付に必要な財源が不足する。低金利、株式市場の低迷等による運用利回りの低下が起こると、予想した運用収益を得ることができない。確定給付型においては財源不足は企業が補填しなければならず、企業の負担が増大し、経営を圧迫する結果となるのである。現在の日本は、バブル経済の崩壊以来続く不景気の状態にあり、まさに今述べたような状態に陥ってしまっているのである。景気が良くならないことには運用収益も増加しないので、このままでは企業は益々苦しくなっていくのであろう。日本政府が有効な景気対策を講じ、より早い景気の回復を実現させることが期待される。

 

〜参照〜

http://www.jein.or.jp/sogo/katsudo/kenkai/nenkin0928/:年金関連

  年金制度の歴史や2000年改正の主な内容、今後の課題などが分かりやすく解説されており

  より深い年金の知識を得ることができるホームページである

 

●まとめと感想

 今回のレポート提出にあたって、私が年金制度をテーマとして選んだのには、自分の中で不鮮明であった年金の知識を正しいものにしたいということと、今後起こりうる問題としてどのようなものがあるのかというのを調べたいという2つの理由があったためであった。限られた、あまり多くない時間であったが、自分なりにインターネットのいろいろなホームページや文献を参考としてまとめてみた。

 その結果、以下のようなことがわかった。

 

Ø        一口に年金といっても、国で制定している公的年金と、民間企業が運営している私的年金とがあり、各々がさらに多くの種類の年金から成り立っているということ

 

Ø        公的年金の「国民年金」には、自分が20歳になり次第加入する義務があるということ

 

Ø        年金の給付方法には「賦課方式」「積立方式」という2種類の方法があるということ

 

Ø        今後の日本は、現在よりもさらに少子高齢化が進み、現状の年金制度では年々現役世代の負担が増大してしまうので、それに対応した制度に改定していかなければならないということ

 

 レポートをまとめる過程で思ったこととしては、私達がやがて歳をとり、年金の給付を受けるくらいの年齢となったときの年金制度はどのようになっているのだろうということであった。すでに述べたように、公的年金の被保険者と年金受給者の割合は、2000年現在で約4:1となっているが、2025年頃には約2:1にまで悪化していると予想されている。その頃の私達はだいたい45歳くらいであろうから、年金を受けるようになるのはそれよりさらに20年程後のこととなる。その頃にはこの比率はさらに悪化している計算になるのであろう。それでも毎月きちんと生活していけるだけの年金がもらえるのかどうか、その時代に対応した制度になっているかどうかと不安に思ったのである。

 今後国や企業がその時代にあった、安心して生活を送っていけるような年金制度を検討し、制定してくれることを切に願っている。